情報を提供してくれる事情通たちの活躍もあり、スクープ情報の確度には定評のあるベストカー(自分で言っちゃった)。しかし登場まで知り得ない情報があるのも事実。そんな時は温故知新……ルーツをたどって新型車に思いを馳せてみよう。
※本稿は2025年5月のものです
文:片岡英明、ベストカー編集部/予想CG:ベストカー編集部/写真:日産、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年6月26日号
新型日産 エルグランド(2026年秋デビュー)
2025年のジャパンモビリティショー出展が濃厚な新型エルグランド。目撃情報によると、そのフォルムは「凄く四角い」らしい。
CGは日産の第3四半期決算説明会資料にあったシルエットと目撃情報をもとに製作したものだが、ライバルのアルファード/ヴェルファイアに負けない押しの強さを手に入れそうだ。
搭載するパワーユニットは1.5Lの発電用エンジンを積んだ第3世代のe-POWERになると発表されている。
エルグランドの源流をたどる
レジャー志向が強まった1990年代、日産はプレミアムミニバンの開発に着手した。ワンボックスと違う新しいパッケージングを採用し、ノーズとホイールベースを延ばして短いボンネットの中にパワーユニットを収めている。
1997年5月、日産の頂点を目指して誕生したのが、プレミアムミニバンのキャラバンエルグランドと、兄弟車のホーミーエルグランドだ。
最大の売りは、ワンボックスを大きく超えた快適性と軽快な走りである。高級セダンと遜色ない充実した快適装備も自慢だ。
パワートレーンは2機種を設定する。上質な3.3LのV型6気筒OHCと、3.2Lのインタークーラー付きディーゼルターボだ。どちらも力強い加速を披露し、余裕たっぷりの走りを見せつけた。静粛性に代表される快適性も高い。
常勝トヨタを悔しがらせたミニバンがエルグランドだ。アルファード誕生のきっかけを作ったし、スポーティな味わいを強めたハイウェイスターや高規格救急車のパラメディックなど、新しいことにも挑戦した。
この時期にディーゼルを3L直噴ターボに変更。2000年にはガソリンエンジンも3.5LのV6・DOHCに換装した。初代はプレミアムミニバンの新境地を切り開き、20万台を超える販売を記録するなど、大ヒットを飛ばしている。
初のモデルチェンジは2002年春だ。初代モデル以上に押しの強い顔立ちになり、両側にスライドドアを備えた5ドアが主役となった。
パワーユニットはディーゼルターボを整理し、3.5LのVQ35DE型V型6気筒だけに絞った。だが、2004年12月に2.5LのVQ25DE型V6エンジンを投入している。ミニバンのなかで唯一、FR方式を採用していた。
2代目エルグランドは上質で走りのいいミニバンだったが、V6エンジンにこだわったこともあり、トヨタが刺客として送り込んだアルファードに販売面で差をつけられている。そこで2010年8月に、メカニズムを一新した第3世代のエルグランドを市場に放った。
FFベースに生まれ変わり、フロアも全高も2代目より低くなっている。キャビンスペースも広がった。エンジンは3.5LのVQ35DE型V型6気筒DOHCと、2.5LのQR25DE型だ。これに無段変速のCVTを組み合わせている。
その後も安全装備を充実させるなどの改良を続けたが、風格ではアルファード/ヴェルファイアに貫禄負けしている。
3代目は15年にわたって第一線で活躍を続けている。が、4月に次期モデルのデザインを一部公開した。低重心で走りがよかった、そのDNAをぜひ受け継いでもらいたいと思う。
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